
兎年の今年は、「ウサギのようにぴょんぴょん跳ねて」のたとえをよく耳にします。元気よく飛び跳ねるのはいいけれど、『ウサギとカメ』のお話では競争の途中で居眠りをしたウサギがカメに負けるという結末でした。
「どうしてウサギはカメに負けたと思いますか?」五十代のある男性経営者が、たまたま同席していた二人に訊いたそうです。
「ウサギの怠慢だと思います」と答えたのはパート勤務の四十代主婦。
「カメはコツコツ努力したから」と答えたのは飲食店を経営する三十代の男性。
質問をした男性経営者の解釈は、二人とはまったく違うものだったようです。
「私はね、カメの目的が“ゴール”だったからだと思うんです」。
ウサギの目的は「カメ」だった。カメを追い抜かすことがウサギの目的だったからウサギはカメを見ていた。
だが一方のカメは、最初からゴールすることしか考えていなかった。だからカメの目的は「ウサギ」じゃなくて「ゴール」だった。たまたまウサギに勝ったけれど、カメはただひたすらにゴールを目指していただけでウサギのことは見ていない。ウサギはカメに負けて、カメは自分に勝った。横を見て競争していたウサギと、常に目的意識を持って前を見ていたカメの差だと思うんですよ・・・。
『ウサギとカメ』はよくたとえ話に使われます。いくらウサギが俊足でも途中で努力を怠れば鈍足のカメに追い抜かれる。鈍足のカメでも努力を続ければ俊足のウサギに勝てる。これが一般的なたとえ話でしょう。物語の解釈に正解はありません。とはいえ、解釈にはその人の人生観のようなものが投影されます。
「ウサギの怠慢」と答えた女性は「カメの目的はゴールだった」という解釈を聞き、今の自分は現状維持のための努力はしていても前を向いていないと思ったそうです。
商売の目的が明確であれば、ウサギのようにぴょんぴょん跳ねてもカメのようにゆっくりじっくり進んでも、いずれはちゃんとゴールに到着します。
しっかりと前を見て行きたいものですね。
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